FT8 DXpedition Modeの設定と運用

FT8は2017年7月に公開された新しいデジタルモードです。詳しい情報はCQ誌や他のWEBサイトに紹介されていますのでそちらを参考にしていただくとして、ここでは6月末からベーカー島においてKH1/KH7Zの運用が開始され、FT8の新しいモードであるDXpedition Modeで運用が行われます。

設定編

ソフトウエア

FT8用のソフトウエアはK1JTが開発した「WSJT-X」を使用しています。2018年7月現在Ver.1.9.1までリリーズされていて、DXpedition ModeはVer.1.9.1のみで使用可能です。
対応ソフトウエアは次のURL(https://physics.princeton.edu/pulsar/k1jt/wsjtx.html)からダウンロード可能です。

DXpedition Modeの設定

当クラブにおいても、デジタルモード運用のために変更申請を行う方が出て来ています。
そこで、DXpedition Modeだけでなく基本的なWSJT-Xの設定をあわせて示していきたいと思います。

ダウンロードした、wsjtx-1.9.1-win32.exeを起動しインストールを行い。メニューから(File>Settingsを開き)設定を開始します。

Generalタブ

ここで、運用局の コールサインGrid Locationの設定を行います。(他の項目はサンプル通り)
General TAB

Radioタブ

ここの設定は使用する無線機によってかなり異なります。OmniRigによる設定が無難でしょう。
Radio Tab

Audioタブ

ここでは、PCとRig間の音声信号の通信を行うデバイスを指定します。
通常、USBケーブル1本でRigとPCを接続していますので、USBマイクとスピーカの接続を選択します。
(デバイスマネージャーは画面左下の、Windowsマークを「右クリック」すると表示されます)
Audio TAB

TX Macrosタブ

13文字以内のフリーメッセージを登録します。
無くでも構いませんが通常モードで運用するなら、JCC番号などを登録すればよい。
TXMacros

Reportingタブ

他のアプリケーションとの連携をさせる場合に設定します。
通常使用しているHamLogとの連携は、ここTabは使用せずJT_Linkerを使用します。
Reporting Tab

Frequenciesタブ

バンド、モード別に運用周波数をプリセットします。
ペディション局は、特別な運用周波を使用するので、ペディション局のページで運用プランが発表されています。
KH1/KH7Z局の場合(http://www.baker2018.net/index.html)のOperatiing PlanFrequencies

Colorsタブ

運用中に、画面に表示される傍受した通信の局の情報をメッセージに色を付けて表示します。
 必要なら自分の見やすい色に変更することも可能です。
Colors Tab

Advansedタブ

WSJT-Xに高度な設定を行うタブで、Pedモードに関する重要な設定を行います。
ここでは、ペディションモードでDXを追いかける側の局(Hound)、Peditionを行っている局(Fox)を設定します。
我々は追いかける側Houndを選択します、誤ってFoxを選択するようなことは避けなければなりません。
もう一点、受信帯域幅を初期値よりも広く設定することをお勧めします
Advanced Tab

運用編

  1. DXpedition Modeは、通常の FT8 周波数を使用しないので、WSJT-X の作業周波数リスト(Frequenciesタブ)に KH1 / KH7Z FT8 周波数リストを追加して下さい。ここに KH1/KH7Z ウェブサイトのOperatiing PlanからKH1が使用するFT8周波数を追加します。

  2. Split Operationの設定確認。Hound局はRadioタブのSplit Operation をRigあるいはFake Itに設定し、CATを使用します。

  3. Generalタブで、Monitor returns to last used frequencyとDouble-click on call sets Tx enableの2つをチェックします。
    (通常この設定がされていると思います)

  4. 運用するバンドを選択し、送信周波数を設定します。
    送信周波数をWide Graph上(スペクトラムが表示されている画面)でShift+クリックして設定します.1,000Hz未満は、Fox側とコールバックがあったHoundが使用するため、1,000Hz未満で送信した場合Houndの信号は無視されます。必ず1,000Hz以上で呼びます。
    送信周波数設定
    受信周波数は300Hzに設定しておきます。
  5. Hound(自局のコール)に応答があった場合、送信周波数をFox側の周波数(300Hz~900Hz)自動的ににQSYして「R+レポート」がFoxに送信されます。このことから、300Hzでも問題なく送信できることを予め確認しておくことが必要です。
    (送信帯域フィルター外となった場合、パワーが出ずにコールバックはあったのに、送信出来ないことがあります)
  6. Foxの周波数(300Hz~900Hz)にQSYした後に、Fox側からの「RR73」が来なかった場合は、自動的に更に300Hz程度上にHound(自局)がQSYして「R+レポート」がFoxに送信されます。この動作はEnable TxをOFFにしても再送されるため、離席する場合は注意が必要です
  7. Fox側から「RR73」が来てQSO完了し、ログインされます。
    なおHound(自局)が「RR73」を受信できず繰り返し「R+レポート」を送り続けた場合、Foxは「RR73」を3回まで送信します。

基本的なことですが、PCの時計は正確に設定しておかなければなりません。

QSO例

ここに、JQ3MZLが15mで初めて更新した例を示します。
プア―な設備ですが無事QSOできました、
スリランカとのFT8での交信に比べて、簡単にQSOが完了しました。
交信例
Peditionモードでは呼ばれる側(Fox)は最大5つの信号を同時送信することで、理想的な条件下では毎時500QSOが可能とのことです。

後書き

本ページ作成に当たって次のページを参考にしました。
https://physics.princeton.edu/pulsar/k1jt/FT8_DXpedition_Mode.pdf
https://physics.princeton.edu/pulsar/k1jt/FT8_DXpedition_Mode_JP.pdf(JA7UDE訳)
なお、クラブシャックにおいても、Ped Modeの体験が可能です。(設定変更はなさらないようにお願いします

各局のWSJT-X設定については、Radioタブを機種に合わせたCAT設定をお願いします